多様性を活かす職場づくり 聴講報告
不機嫌な職場~なぜ社員同士で協力できないのか (講談社現代新書) という本を書かれた、株式会社 ジェイフィール代表 高橋克徳さんです。 多様性を活かす職場とは、どんな職場でしょうか。 高橋さんは、不機嫌な職場、ギスギスした職場では、そもそも 多様性(ダイバーシティ)どころではない、と言います。 これを聞いたとき、思い当たることがありました。 長時間労働が常態化しているようなプロジェクトでは、育児休業の取得や、復職後に子どもの病気で休んだりするメンバーに対して、周りのメンバーから不満が出やすい。子育て中だからといって優遇されるのは納得がいかない、という感情から来るものなのでしょう。結果的に育休がとりにくくなったり、復職後にプロジェクトを離れざるを得なかったりすることが多いのです。 ダイバーシティマネジメントの出発点は、 個人が認め合う、受け入れる ということです。 人は、放っておいたら異質なものに拒否反応を示すものです。 多様な人材、例えば言葉が通じなかったり、時間制約があったりする人たちといっしょに仕事をするのは、たとえその人たちの存在が不可欠であったとしても、最初のうちはコミュニケーションに時間や手間がかかったり、それまでの仕事のやり方を変えなければならなかったりして、「面倒だ」と感じることがありますよね。 もともとギスギスしているような職場に、多様性を持ち込んだらどうなるでしょうか。 「面倒だ」という気持ちがいらだちのような感情になって、異質な人たちにぶつけられるだろうことは、想像に難くないですね。 高橋さんは、組織にも感情がある、といっています。 負の感情は、組織にとっても個人にとってもリスクになります。 業務リスク、人材リスク、経営リスクがそれぞれ高まり、知恵が出てこなくなったり、心や体を壊す人がでてきたり、組織の不祥事を誰も止められなくなったりするのです。 組織感情を良好な状態にすることは、リスクマネジメントとして必須なのです。 株式会社ジェイフィールでは質問に回答して組織感情を診断するサービスを提供しているそうです。 自分の職場はどうなのか、ちょっとやってみたくなりますね! さて、どうしたら組織感情を良い状態にできるのでしょうか。 キーワードは「集団的なコミュニケーションの促進」です。 一人ひとりがそれぞれの仕事を公開し、教え合う、伝え合う、アイディアを持ち寄る、知恵を出す、ということを、組織的に行っている職場が、効果をあげているようです。 グーグルや、サイバーエージェント、ヨリタ歯科などが事例として紹介されました。(このあたりは本に詳しく書かれています。) こういった企業では仕事を公開し、互いに教えあったり知恵を出し合ったりする仕組みを明示的に社内に設けています。また、仕事だけでなく、人となりの情報を共有、場を共有、体験を共有することにより、互いに理解し合うことを促進しています。 また、協力し合うという事に対して、根源的な感情に働きかける形でのインセンティブを生む仕掛けを設け、無理なく感謝の気持ちを表すことができるようにしています。 組織力とは、個人力 x つながり力。 つながり力が個を支え、多様性を引き出すのです。 ダイバーシティマネジメントのプロジェクトが立ち上がったものの、職場の対応がどこか冷めているといったような場合は、急がば回れで、まずは互いが協力し、支え合える職場作りに重点をおいてみるのも、手かもしれません。興味がある方は、高橋さんの本を読まれることを、おすすめします。 ]]>